事務局ブログ

砂浜を浸食する力

2013.07.31 Wednesday 18:30
 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による大津波は、東日本各地に大きな被害をもたらしました。この大津波による陸上へのさまざまな浸食は、私たちを震撼させました。ここで、同じ土俵で比較するのかとお叱りを受けるかもしれませんが、その大津波と低気圧による荒波のどちらが、海岸の土地(砂浜)をより多く浸食したのかを比較してみました。 これを実証した場所は、意外にも銚子の近所に存在し、鹿島灘に面した神栖市須田浜でした。
 
 この大津波の遡上痕跡を辿ってみると、最高は標高10mでしたが、砂丘頂部を越えて、陸側に越流することはありませんでした(図1)(砂丘は、天然の防波堤ですね!)。一方、大津波の遡上による断面地形変化は少なく、直前に砂が堆積していた範囲に浸食、浸食していた範囲に堆積が生じ、その結果として均された断面形状になったと記載されています。
 
 これに対して、2006 年10 月7日未明(3時の風速25.7m/s)の低気圧による荒天時を取り上げました(図2)。このときの波の遡上高は5.6mで、大津波に比較して低かったにもかかわらず、大規模な後浜の浸食が生じたようです。大津波による後浜浸食量は、2006年10月7日未明の荒天による後浜浸食量と比較して、1/15だったようです。
 
 はじめの予想に反して、意外にも、あの大津波よりも荒天時の方が、砂浜の浸食量が多かったようです。その理由として、津波の遡上が砂丘を越えず、後浜の地下水位が飽和状態にならないとともに、津波の遡上回数が10回と少なかったためだったようです。
 
 そうすると、あの屏風ケ浦も、長きにわたって、大津波よりも荒天による浸食の影響が大きかったのかなあと想像させます。

柳嶋図
図1  津波遡上痕跡の空間分布(2011年3月14日測量)(柳嶋ほか2011より)

天気図20061007
図2 2006 年10 月7日の天気図(気象庁ウェブサイトより)

荒天時の砂浜
図3 荒天時の砂浜の様子(イメージ)
 

(引用文献)
柳嶋慎一, 中村聡志, 伴野雅之, 山田雅仁, 2011, 東北地方太平洋沖地震による波崎海岸における津波の遡上と地形変化, 土木学会論文集B2(海岸工学), 67(2),I_236-I_240.



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